親が亡くなったらやるべき事リスト|連絡・申請・手配、相続・銀行への手続きなど順番に解説
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葬儀では普段耳慣れない言葉が多く、
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初めての喪主の方へ
- 新着 更新日:2025.11.21
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親が亡くなったらやるべき事リスト|連絡・申請・手配、相続・銀行への手続きなど順番に解説

親が亡くなったらする手続きは多岐にわたり、期限が定められているものも少なくありません。
このチェックリストでは、必要な手続きの全体像を把握し、やるべきことの順番や流れを解説します。
葬儀後のことから、相続や銀行口座の手続きまで、手順に沿ってリストを確認することで、落ち着いてする事を進められます。
親が亡くなった直後にやるべきこと(当日~3日目)
親が亡くなった当日から3日目までは、精神的に大変な中で、迅速な対応が求められる手続きが集中します。
特に遠方に住んでいる場合は、移動時間も考慮しなくてはなりません。
まずは死亡診断書の受け取りから葬儀社の手配、関係各所への連絡など、最初に行うべきことを時系列で確認していきます。
死亡診断書または死体検案書を取得する
親が亡くなった際、最初に行うべきことは「死亡診断書」または「死体検案書」の受け取りです。
これらは死亡を法的に証明する非常に重要な書類であり、今後のあらゆる手続きで必要書類となります。
病院で亡くなった場合は医師が死亡診断書を、自宅での突然死や事故死などの場合は監察医が死体検案書を発行します。
受け取る際は、氏名や生年月日などの記載内容に誤りがないか必ず確認してください。
死亡届の提出や火葬許可の申請、生命保険の請求、預貯金の解約など、多くの場面で原本またはコピーの提出が求められるため、複数枚コピーを取っておくと後の手続きがスムーズに進みます。
近親者や関係各所へ訃報の連絡を入れる
訃報の連絡は、まず家族や兄弟、親族など、近しい身内から始めます。
その後、故人や自身の友人、近所の方々へ報告します。
連絡手段は電話が一般的ですが、相手の状況に応じてメールやSNSなどを使い分けることも考えられます。
会社員の場合は、直属の上司に速やかに連絡し、忌引休暇の申請を行います。
職場への報告では、故人との続柄、亡くなった日時、通夜・葬儀の日程と場所などを伝えます。
すぐに詳細が決まらない場合は、後日改めて連絡する旨を伝えておくとよいでしょう。
仕事の引き継ぎについても併せて相談し、必要な休暇を取得できるように調整します。
葬儀社を選定し葬儀の手配を進める
訃報の連絡と並行して、葬儀社を選定し、葬儀の手配を進めます。
生前に故人が希望する葬儀社を決めていた場合は、そちらに連絡します。
決まっていない場合は、複数の葬儀社から見積もりを取り、費用やサービス内容を比較検討するのが一般的です。
葬儀社が決まったら、喪主を誰にするかを決め、葬儀の日程や場所、形式(一般葬、家族葬など)について打ち合わせを行います。
お通夜や葬式の段取り、返礼品、香典の取り扱いなどもこの段階で相談します。
お寺との付き合いがある場合は、僧侶に連絡して読経の依頼をします。
菩提寺がない場合は、葬儀社に相談して紹介してもらうことも可能です。
お墓や仏壇の有無についても確認しておくとよいでしょう。
死亡届を提出し火葬許可証を受け取る
死亡の事実を知った日から7日以内に、死亡診断書(または死体検案書)を添付して「死亡届」を役所に提出する必要があります。
この手続きは国内での死亡の場合、届出人の所在地、故人の本籍地、または死亡地のいずれかの市区町村役場で行えます。
提出が完了すると、「火葬許可証」が交付されます。
この火葬許可証がないと火葬を行うことができないため、非常に重要な書類です。
紛失しないように大切に保管し、火葬当日に火葬場へ提出します。
火葬後、この書類に執行済みの印が押されて返却され、これが「埋葬許可証」となります。
埋葬許可証は、遺骨をお墓に納める際に必要となるため、これもまた厳重に保管してください。
通常、これらの手続きは葬儀社が代行してくれることが多いです。
遺体の搬送と安置場所を確保する
病院で亡くなった場合、ご遺体を長時間安置しておくことはできないため、速やかに搬送先を決めなければなりません。
搬送・安置は、選定した葬儀社に依頼するのが一般的です。
安置場所としては、自宅か葬儀社の安置施設のどちらかを選ぶことになります。
自宅に安置する場合は、仏壇のある部屋や静かな部屋を選び、スペースを確保する必要があります。
葬儀社に依頼すれば、専門のスタッフが必要な準備を整えてくれます。
親しい人を亡くした直後は、深い悲しみや孤独感から、冷静な判断が難しい辛い気持ちになるかもしれません。
突然の出来事に不安を感じるのは当然のことです。
手続きに追われる中で無理をせず、葬儀社の担当者など専門家のサポートを受けながら、一つずつ進めていくことが大切です。
葬儀後、速やかに行う手続き(~14日以内)
葬儀後も息つく間もなく様々な手続きが待っています。
特に死亡日から14日以内という短い期限が設けられている手続きが複数存在するため計画的に進める必要があります。
これらの手続きは故人の住民票があった市区町村の役所で行うものが中心です。
世帯主の変更や年金健康保険に関する手続きなど生活に直結する重要なものばかりなので忘れずに対応してください。
世帯主の変更届を役所に提出する
亡くなった方が世帯主であった場合、死亡日から14日以内に市区町村役場へ「世帯主変更届」を提出する必要があります。
この手続きが必要なのは、その世帯に15歳以上の人が2人以上残っているケースです。
残された世帯員が1人だけになる場合や、残された世帯員が15歳未満の子供とその親権者のみといった場合は、自動的に新しい世帯主が定まるため、届出は不要です。
新しい世帯主は、その世帯の生計を主に担う人を選ぶのが一般的です。
届出には、本人確認書類と印鑑が必要となる場合がありますので、事前に役所のウェブサイトなどで確認しておくとスムーズです。
この手続きを怠ると、行政サービスに関する通知が届かないなどの不利益が生じる可能性があります。
年金の受給停止手続きを年金事務所で行う
故人が年金を受給していた場合、速やかに年金の受給を停止する手続きが必要です。
年金受給者死亡届は、管轄の年金事務所または年金相談センターに提出します。
提出期限は、国民年金の場合は死亡日から14日以内、厚生年金の場合は10日以内と定められています。
手続きが遅れると、故人の死亡後に振り込まれた年金を返還しなければならなくなり、手間が増えてしまいます。
手続きには、故人の年金証書、戸籍謄本、死亡診断書のコピーなどが必要です。
また、故人と生計を同一にしていた遺族がいる場合は、未支給年金や遺族年金を受け取れる可能性があるので、受給停止手続きと同時に相談するとよいでしょう。
故人の健康保険証を返却する
故人が使用していた健康保険証は、資格を喪失するため返却しなければなりません。
加入していた保険の種類によって返却先と期限が異なります。
故人が国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入していた場合は、死亡日から14日以内に市区町村役場へ保険証を返却します。
この際、「資格喪失届」も併せて提出します。
会社員などで勤務先の健康保険(組合健保や協会けんぽなど)に加入していた場合は、死亡日から5日以内に勤務先を通じて、または直接健康保険組合へ返却手続きを行います。
扶養家族がいた場合は、その家族も国民健康保険などへの切り替え手続きが必要です。
保険証の返却と同時に、葬祭費や埋葬料の給付申請ができる場合もあるため、忘れずに確認してください。
介護保険の資格喪失届を提出する
故人が65歳以上、または40歳以上65歳未満で要介護・要支援認定を受けていた場合、介護保険の資格喪失手続きが必要です。
死亡日から14日以内に、故人が住民票を置いていた市区町村役場の介護保険担当窓口へ「介護保険資格喪失届」を提出します。
この手続きの際には、介護保険被保険者証を返却する必要があります。
もし、介護保険料が過払いになっている場合は、後日還付されます。
逆に、未納の保険料がある場合は、相続人が支払義務を引き継ぐことになります。
手続きには、届出人の本人確認書類や印鑑が必要になることがあります。
介護サービスを利用していた場合は、ケアマネジャーや利用していた事業所にも連絡を入れておきましょう。
期限に注意して進めるべき相続関連の手続き
葬儀後の手続きと並行して、遺産相続に関する手続きも開始する必要があります。
相続手続きには、3ヶ月、4ヶ月、10ヶ月といったように、法律で定められた明確な期限が存在するものが多く、計画的に進めなければなりません。
遺言書の確認から始まり、相続人の確定、財産の調査、そして最終的な相続税の申告・納付まで、一連の流れを把握しておくことが重要です。
故人が遺言書を残していないか確認する
相続手続きを始めるにあたり、まず最初に行うべきことは、故人が遺言書を残しているかどうかの確認です。
遺言書は、故人の遺産分割に関する最終的な意思表示であり、その後の手続きに大きく影響します。
遺言書は自宅の金庫や仏壇、貸金庫などに保管されていることが多いです。
また、弁護士や信託銀行に預けているケースも考えられます。
近年利用が増えている公正証書遺言の場合は、公証役場で保管されているため、全国の公証役場で遺言の有無を検索できます。
自筆証書遺言が見つかった場合は、家庭裁判所で「検認」という手続きを経る必要があります。
検認を受けずに遺言書を開封したり、内容を執行したりすると過料が科される可能性があるため、注意が必要です。
相続人を確定させるために戸籍謄本を集める
遺言書がない場合、または遺言書で指定されていない財産がある場合は、法律で定められた相続人(法定相続人)全員で遺産分割協議を行う必要があります。
そのためには、誰が法的な相続人であるかを正確に確定させなければなりません。
相続人を確定させるには、故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本を含む)が必要です。
これらの戸籍を遡って収集することで、認知している子や前妻の子など、把握していなかった相続人の存在が明らかになることもあります。
戸籍謄本は、故人の本籍地があった市区町村役場で取得します。
本籍地が遠方であったり、転籍を繰り返していたりすると、収集に時間と手間がかかる場合があるため、早めに着手することが望ましいです。
相続財産を調査し財産目録を作成する
相続人を確定させる作業と並行して、故人が遺した全ての財産を調査し、一覧にまとめた「財産目録」を作成します。
相続財産には、預貯金、有価証券、生命保険、家や土地といった不動産、車などのプラスの財産だけでなく、借金やローン、未払金といったマイナスの財産も含まれます。
プラスの財産は通帳や権利証、保険証券などから、マイナスの財産は契約書や督促状、信用情報機関への開示請求などで確認します。
不動産の価値は固定資産評価証明書で、預貯金は残高証明書で正確な金額を把握します。
この財産目録は、後の遺産分割協議や相続放棄の判断、相続税申告の基礎となる重要な資料です。
【3ヶ月以内】相続放棄または限定承認を家庭裁判所に申し立てる
財産調査の結果、プラスの財産よりも借金などのマイナスの財産が多いことが判明した場合、相続人は相続を放棄することができます。
この「相続放棄」の手続きは、自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内に、故人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てる必要があります。
この期限を過ぎると、原則として単純承認したとみなされ、全ての財産と債務を引き継ぐことになります。
また、プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を返済する「限定承認」という方法もありますが、これも同じく3ヶ月以内に相続人全員で申し立てなければなりません。
相続放棄を検討する場合は、期限内に正確な財産調査を終えることが不可欠です。
【4ヶ月以内】故人の所得税の準確定申告と納税を行う
故人が生前に事業所得や不動産所得があった場合など、確定申告が必要なケースでは、相続人が代わって申告と納税を行わなければなりません。
これを「準確定申告」と呼びます。
申告の対象となるのは、その年の1月1日から亡くなった日までの所得です。
この手続きは、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内に行う必要があります。
申告は、故人の死亡当時の納税地を管轄する税務署に対して行います。
医療費控除や生命保険料控除なども適用できるため、故人の領収書などを確認して申告内容を準備します。
納税額がある場合は期限内に納付し、還付金がある場合は相続人が受け取ることになります。
【10ヶ月以内】相続税の申告と納税を完了させる
相続した財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超える場合、相続税の申告と納税が必要です。
この手続きの期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内と定められています。
申告書は、故人の死亡当時の住所地を管轄する税務署に提出します。
相続税の計算は複雑であり、土地の評価や特例の適用など専門的な知識を要する部分が多いため、税理士などの専門家に相談するのが一般的です。
納税は原則として現金一括で行う必要がありますが、期限内の納付が難しい場合は延納や物納といった制度を利用できることもあります。
期限を過ぎると延滞税などが課されるため、余裕を持ったスケジュールで進めることが重要です。
故人の銀行口座に関する手続きの進め方
親が亡くなると、故人名義の銀行口座は凍結され、入出金や引き落としが一切できなくなります。
この凍結を解除し、預貯金を相続するためには、金融機関ごとに定められた手続きを踏む必要があります。
戸籍謄本や遺産分割協議書など、多くの書類を準備する必要があるため、相続手続きの中でも特に時間と手間がかかる作業の一つです。
手続きの流れを理解し、計画的に進めていきましょう。
金融機関に連絡し口座の利用を停止してもらう
相続手続きの第一歩として、故人が口座を持っていた全ての金融機関(銀行、信用金庫、証券会社など)に死亡の事実を連絡します。
連絡方法は電話で構いません。
金融機関は名義人の死亡を確認した時点で、その口座を直ちに凍結します。
口座凍結が行われると、預金の引き出しや公共料金などの自動引き落とし、入金を含む全ての取引が停止されます。
これは、相続人が確定するまで相続財産を保全するための措置です。
一部の相続人が勝手に預金を引き出してしまうといったトラブルを防ぐ役割があります。
連絡の際には、故人の氏名、生年月日、口座番号などを伝えられるように準備しておくとスムーズです。
この時に、今後の相続手続きに必要な書類についても確認しておきましょう。
故人の預貯金の残高証明書を取得する
遺産分割協議や相続税申告のためには、故人が亡くなった日(相続開始日)時点での正確な預金残高を証明する「残高証明書」が必要です。
この書類は、金融機関に死亡の連絡をした後、相続人からの請求に基づいて発行されます。
発行を依頼する際には、故人の戸籍謄本(死亡が確認できるもの)や、請求者が相続人であることを証明する書類(自身の戸籍謄本など)、本人確認書類、実印などが必要となります。
通帳の最終記帳残高と実際の残高は、利息の計算などにより異なる場合があるため、必ず残高証明書を取得して正確な金額を把握します。
複数の金融機関に口座がある場合は、それぞれで発行手続きを行う必要があります。
必要書類を揃えて預貯金の解約・名義変更を行う
残高が確定し、遺産分割協議がまとまったら、預貯金の解約(払い戻し)または相続人への名義変更手続きを行います。この手続きには、金融機関所定の払戻請求書に加え、多くの添付書類が必要です。
一般的には、故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書、遺産分割協議書または遺言書などが求められます。必要書類は金融機関や相続の状況によって異なるため、事前に必ず確認してください。全ての書類が揃ったら、金融機関の窓口に提出します。書類に不備がなければ、後日、指定された相続人の口座に故人の預金が振り込まれるか、名義変更された新しい通帳が発行されます。
口座凍結前に預金を引き出す際の注意点
金融機関が死亡を知る前であれば、キャッシュカードと暗証番号でATMからお金を引き出すことは物理的に可能です。
しかし、口座凍結前に預金を引き出す行為には注意が必要です。
引き出したお金を葬儀費用や入院費用の支払いに充てることは社会通念上認められることが多いですが、その場合でも必ず領収書を保管し、何に使ったかを他の相続人に説明できるようにしておくべきです。
もし引き出した現金を私的に費消してしまうと、他の相続人との間でトラブルに発展する可能性があります。
また、預金を引き出す行為は、相続財産を処分したとみなされ、単純承認したと判断されることがあります。
その結果、後に多額の借金が判明しても相続放棄ができなくなるリスクがあるため、慎重に行動してください。
その他の契約に関する解約・名義変更手続き
預貯金以外にも、故人が契約していた様々なサービスについて、解約や名義変更の手続きが必要です。
公共料金や通信サービス、クレジットカードなど、放置すると不要な料金が発生し続けるものもあるため、速やかに対応しなくてはなりません。
不動産の名義変更(相続登記)は法務局で行うなど、手続きごとに窓口が異なります。
故人の郵便物や契約書類などを確認し、手続きが必要なものをリストアップすることから始めましょう。
公共料金(電気・ガス・水道)の契約者変更または解約
電気、ガス、水道といった公共料金は、生活に不可欠なサービスであるため、手続きを忘れないように注意が必要です。
故人名義で契約していた場合、その家に引き続き家族が住むのであれば契約者の名義変更を、空き家になるのであれば解約手続きを行います。
各供給会社のウェブサイトやコールセンターに連絡し、お客様番号を伝えると手続きがスムーズです。
名義変更の場合、一般的には故人との続柄や新しい契約者情報などを伝えるだけで完了します。
解約の場合は、停止希望日を伝え、最終利用分までの料金を精算します。
電話やインターネット回線、NHKの受信契約なども同様に手続きが必要です。
これらの契約を放置すると基本料金がかかり続けるため、早めに対応しましょう。
携帯電話やインターネット回線の解約
故人が契約していた携帯電話やスマートフォン、自宅のインターネット回線も解約手続きが必要です。
放置すると月額料金が発生し続けてしまいます。
解約手続きは、各通信キャリアのショップ窓口で行うのが一般的です。
手続きには、故人の死亡が確認できる書類(戸籍謄本や死亡診断書など)、契約者の死亡により解約する旨を証明する書類、来店した相続人の本人確認書類などが必要です。
携帯端末本体の分割払いが残っている場合は、残債を一括で支払うか、支払いを引き継ぐ必要があります。
また、契約内容によっては解約手数料が発生することもありますが、契約者死亡の場合は免除されるケースも多いため、事前に確認しておくとよいでしょう。
クレジットカードや会員サービスの解約
故人が所有していたクレジットカードは、速やかにカード会社へ連絡して解約手続きを行います。
カード会社は名義人の死亡を知るとカードを利用停止にします。
放置すると年会費が発生し続けるだけでなく、不正利用のリスクも残ります。
解約の連絡を入れると、カード会社から所定の届出用紙が送られてくるので、必要事項を記入して返送します。
未払いの利用残高がある場合は、相続人が支払う義務を負います。
また、カードに付帯するポイントは、原則として相続できませんが、航空会社のマイルなど一部のポイントは相続が可能な場合もあります。
その他、故人が利用していた月額制の動画配信サービスやスポーツジムなどの会員サービスも、一つずつ解約手続きを進める必要があります。
生命保険金の請求手続き
故人が生命保険に加入していた場合、指定された受取人は保険会社に連絡して保険金を請求します。
保険金は受取人固有の財産とみなされるため、原則として遺産分割の対象にはなりません。
請求には時効(通常は支払事由が発生した翌日から3年)があるため、保険証券が見つかったら速やかに手続きを開始しましょう。
まず、保険会社のコールセンターに連絡し、死亡保険金の請求をしたい旨を伝えます。
その後、保険会社から送られてくる請求書類に必要事項を記入し、保険証券、故人の住民票の除票または戸籍謄本、死亡診断書、受取人の本人確認書類などを添付して返送します。
書類に不備がなければ、審査を経て指定の口座に保険金が振り込まれます。
運転免許証やパスポートの返納
故人が所持していた運転免許証やパスポートは、悪用されるリスクを避けるためにも失効手続きをすることが推奨されます。
運転免許証は、最寄りの警察署や運転免許センターで返納手続きが可能です。
手続きには、故人の運転免許証、死亡の事実が確認できる書類(住民票の除票など)、届出人の本人確認書類が必要です。
返納義務はありませんが、本人確認書類として悪用されるリスクを避けるためにも手続きしておくのが望ましいでしょう。
パスポートも同様に、各都道府県の旅券窓口または最寄りの在外公館で失効手続きができます。
また、マイナンバーカード(または通知カード)は、市区町村役場に死亡届を提出する際に返納することが一般的です。
これらの身分証明書は、不正利用を防ぐ観点から適切に処理することが重要です。
忘れずに申請したい給付金の手続き
親が亡くなった後、遺族は様々な公的制度から給付金を受け取れる場合があります。
これらは自動的に支給されるものではなく、自身で申請手続きを行う必要があります。
葬儀にかかった費用の一部を補填してくれる制度や、払い過ぎた医療費が戻ってくる制度など、家計の助けになるものが少なくありません。
申請には期限が設けられているため、対象となる給付金がないかを確認し、忘れずに手続きを進めましょう。
葬祭費または埋葬料を請求する
葬儀を行った人(喪主)は、故人が加入していた公的医療保険から、葬儀費用の一部として給付金を受け取ることができます。
故人が国民健康保険または後期高齢者医療制度に加入していた場合は「葬祭費」が、勤務先の健康保険に加入していた場合は「埋葬料」が支給されます。
支給額は自治体や健康保険組合によって異なりますが、国民健康保険の場合は3万円から7万円程度、埋葬料は一律5万円が一般的です。
申請手続きは、故人の住所地の市区町村役場や、勤務先を管轄する健康保険組合などで行います。
申請には、葬儀の領収書や会葬礼状など、喪主であることがわかる書類が必要です。
申請期限は葬儀を行った日の翌日から2年以内なので、忘れずに手続きを行いましょう。
高額療養費の払い戻しを申請する
故人が亡くなる前に長期間入院していたり、高額な治療を受けていたりした場合、「高額療養費制度」により、自己負担限度額を超えて支払った医療費の払い戻しを受けられる可能性があります。
この払い戻しを受ける権利は相続財産に含まれるため、相続人が申請手続きを行います。
申請先は、故人が加入していた公的医療保険の窓口、つまり市区町村役場や健康保険組合です。
申請には、保険証や医療費の領収書、振込先口座の情報などが必要となります。
該当するかどうかが不明な場合は、まず窓口に相談してみるとよいでしょう。
対象となる場合は、通常、診療月から数ヶ月後に対象者へ申請書が送付されますが、届かない場合でも問い合わせて確認することが可能です。
時効は診療月の翌月1日から2年です。
未支給年金や遺族年金を請求する
故人が受け取るはずだった年金が、死亡したことによってまだ支払われていない場合、その「未支給年金」を遺族が請求できます。
年金は後払いのため、亡くなった月までの分が未支給となるケースがほとんどです。
また、故人によって生計を維持されていた遺族は、条件を満たせば「遺族年金」を受給できる可能性があります。
遺族年金には、国民年金から支給される「遺族基礎年金」と、厚生年金から支給される「遺族厚生年金」があります。
これらの手続きは、年金事務所または年金相談センターで行います。
どちらの年金も請求しないと受け取ることができず、請求には5年の時効があります。
受給資格があるかどうかも含め、年金事務所で相談しながら手続きを進めることをお勧めします。
まとめ
親が亡くなった後の手続きは、期限が短いものから相続のように長期にわたるものまで多岐にわたります。
全体像を把握し、チェックリストを活用して一つずつ着実に進めることが大切です。
特に遺産相続に関する手続きは、戸籍謄本の収集や財産調査、遺産分割協議など、専門的な知識が必要となる場面が多くあります。
手続きが複雑で難しいと感じたり、相続人間で意見がまとまらなかったりする場合には、弁護士や司法書士、税理士といった専門家の力を借りることも有効な選択肢です。
一人で抱え込まず、必要に応じて専門家に相談しながら、手続きを滞りなく完了させてください。
ちょっとした疑問やお悩みも多数
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