塔婆料とは?相場・書き方・渡し方まで法事のマナーを解説
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お葬式・法要の知識・マナー
- 新着 更新日:2025.11.21
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塔婆料とは?相場・書き方・渡し方まで法事のマナーを解説

法事において用意する塔婆料とは、故人を供養するために立てる塔婆を依頼する際にお寺へお渡しする費用のことです。
この記事では、塔婆料の相場から封筒の書き方、当日の渡し方まで、一連のマナーを解説します。
初めて塔婆料を準備する方やマナーに不安がある方も、具体的な手順や注意点を確認できます。
故人を偲ぶ大切な供養を滞りなく行うために、正しい知識を身につけておきましょう。
まずは基本から解説!塔婆・塔婆供養とは
塔婆料について理解を深めるためには、まず塔婆そのものについての知識が必要です。
塔婆は、故人の追善供養のために立てられる、文字が刻まれた細長い木の板を指します。
お墓の後ろに立てられているのを見かけたことがあるかもしれません。
この塔婆を立てて故人の冥福を祈る行為を塔婆供養と呼び、仏教における大切な善行の一つとされています。
ここでは塔婆の意味や目的について、基本から解説します。
故人の冥福を祈るために立てる「塔婆(とうば)」
塔婆とは、故人の冥福を祈る追善供養のために墓石の後ろなどに立てる、細長い木の板のことです。
正式には卒塔婆と言い、この読み方が広く知られています。
その起源は古代インドのサンスクリット語で仏舎利を祀る塔を意味する「ストゥーパ」に由来し、漢字で音写したものが「卒塔婆」となります。
塔婆には、故人の戒名や命日、経文、梵字などが墨で書かれています。
この板そのものが仏塔を象徴しており、塔婆を立てることが故人への善行になると考えられています。
塔婆を立てて行う「追善供養」が目的
塔婆を立てる目的は「追善供養」を行うためです。
追善供養とは、生きている人が故人に代わって善行を積み、その功徳を故人へ手向けることで、冥福を祈る仏教の考え方です。
塔婆を立てる行為そのものが善行(徳)とされ、故人がより良い世界へ生まれ変わる手助けになると信じられています。
塔婆供養は、四十九日、一周忌、三回忌といった年忌法要やお盆(特に新盆・初盆)、お彼岸の時期に行われるのが一般的です。
また、菩提寺によっては施餓鬼供養などで毎年塔婆を立てることもあります。
「お布施」と「塔婆料」の明確な違い
お布施と塔婆料は、どちらもお寺にお渡しするものですが、その意味合いは明確に異なります。
お布施とは、読経や戒名を授けていただいたことに対する感謝の気持ちとして僧侶にお渡しする金銭のことです。
これは寺院のご本尊へお供えするものであり、対価としての支払いではありません。
一方、塔婆料は、塔婆を準備し、文字を書いてもらうための費用です。
つまり、塔婆という「物」に対する対価や手数料といった実費としての意味合いが強いものです。
お布施と塔婆料は意味が異なるため、法要の際にはそれぞれ別の封筒で用意するのがマナーとされています。
塔婆料の金額はいくら?気になる相場を解説
塔婆を依頼するにあたり、多くの方が気になるのが塔婆料の金額でしょう。塔婆料は、お寺や地域、塔婆の大きさによって異なります。そのため、一概に「いくら」と決まっているわけではありませんが、一般的な相場は存在します。
ここでは、目安となる塔婆料の相場について解説します。金額に迷った場合の対処法もあわせて紹介するため、法要の準備を進める際の参考にしてください。
塔婆料の相場は1本あたり3,000円~10,000円が目安
塔婆料の相場は、塔婆1本あたり3,000円から10,000円程度が一般的な目安です。
この金額は、寺院の考え方や地域性、また塔婆のサイズによって変動します。
例えば、一般的な板塔婆であれば3,000円~5,000円程度、それよりも小さい角塔婆や経木塔婆であれば2,000円程度が費用の目安となることもあります。
また、特別な法要で用いる大きな塔婆代は、10,000円以上になるケースも見られます。
この料金には、塔婆の材料費だけでなく、僧侶に文字を書いていただく手間賃も含まれています。
金額に迷ったらお寺に直接確認しても問題ない
塔婆料の金額が不明な場合は、法要を依頼するお寺へ直接問い合わせても失礼にはあたりません。
多くの寺院では塔婆料の金額が決まっているため、率直に確認するのが最も確実な方法です。
問い合わせる際は、「塔婆をお願いしたいのですが、皆様おいくらくらいお包みされていますか」といったように、丁寧な聞き方をすると良いでしょう。
また、寺院の事務所や受付、ウェブサイトなどに塔婆料に関する案内が掲示されている場合もあります。
事前に確認しておくことで、当日に慌てることなく準備ができます。
塔婆料を入れる封筒の書き方と準備のマナー
塔婆料を準備する際には、お金を包む封筒の選び方や書き方にもマナーがあります。
表書きや裏書きの記載方法、使用する筆記用具、お札の入れ方など、細かな決まり事を守ることで、お寺に対して丁寧な印象を与えられます。
ここでは、塔婆料の封筒の書き方と準備に関する一連のマナーを詳しく解説します。
いざという時に困らないよう、正しい知識を身につけておきましょう。
使用する封筒は市販の不祝儀袋か白無地のものを選ぶ
塔婆料を入れる袋は、白無地の封筒か、市販の不祝儀袋を使用するのが一般的です。
白封筒は郵便番号欄のない無地のものを選びましょう。
不祝儀袋を用いる場合は、水引が印刷されたタイプや、水引のないシンプルなデザインのもので問題ありません。
地域の慣習によっては水引が付いたものを使うこともありますが、一般的にはなくても構いません。
これらの塔婆料の袋は、スーパーやコンビニ、文具店などで手軽に購入できます。
なお、事務用品である茶封筒はマナー違反と見なされるため、使用は避けるべきです。
サイズは、お札が折らずに入る大きさのものを選びます。
表書きは「御塔婆料」または「塔婆料」と記載する
封筒の表面上部には、表書きとして「御塔婆料」または「塔婆料」と縦書きで記載します。
「御」を付けた方がより丁寧な印象になりますが、どちらを使用しても間違いではありません。
表書きの下中央には、施主の氏名をフルネームで書きます。
連名で塔婆を申し込む場合は、右から目上の人の順に氏名を並べて記載するか、「〇〇家」のようにまとめて記します。
夫婦連名の場合は、夫の氏名を中央に書き、その左側に妻の名前のみを添えるのが一般的です。
これらの文字は、お布施などと同様に、封筒の中央にバランス良く配置するよう心がけます。
裏書きには施主の住所・氏名・金額を忘れずに
封筒の裏側には、お寺側が誰からの塔婆料かを確認できるように、施主の情報を記載します。
裏書きとして、封筒の左下に縦書きで住所と氏名を書くのが一般的です。
また、包んだ金額も忘れずに記載しましょう。
金額は、封筒の裏の右側に「金伍阡圓」のように旧字体(大字)の漢数字を用いて書くと、より丁寧な印象になります。
市販の不祝儀袋で中袋が付いている場合は、中袋の表面に金額、裏面に住所と氏名を記入します。
この場合、外袋の裏書は不要です。
お寺が管理しやすくなるよう、必要な情報は正確に記載することが大切です。
筆記用具は薄墨ではなく濃い墨の筆ペンを使う
塔婆料の封筒に文字を書く際は、濃い墨の筆ペンや毛筆を使用します。
お通夜や葬儀の香典袋では、「突然の訃報で墨を十分に用意する時間がなかった」「悲しみの涙で墨が薄まった」という意味を込めて薄墨を用いるのがマナーです。
しかし、塔婆料は法要に合わせて事前に準備するものであるため、薄墨を使う必要はありません。
むしろ、感謝の気持ちを伝えるお布施と同様に、しっかりと濃い墨で書くのが礼儀とされています。
ボールペンや万年筆の使用は避け、毛筆か筆ペンで丁寧に書きましょう。
お札は肖像画が表の上側になるように入れる
塔婆料として包むお札の入れ方にも作法があります。
お札は封筒の表面に対して、肖像画が描かれている方が表側、かつ上に来るように揃えて入れます。
封筒を開けたときに、すぐにお札の顔が見える向きです。
これにより、受け取った相手がお札を確認しやすくなります。
塔婆料に新札を用意する必要は特にありませんが、あまりにも汚れていたり、破れていたりするお札は避けるのが望ましいです。
複数枚のお札を入れる場合は、全てのお札の向きを揃えるようにしましょう。
お札の入れ方一つにも、相手への配慮が表れます。
塔婆の申し込みから塔婆料を渡すまでの流れ
塔婆供養を行うには、事前にお寺へ塔婆の作成を申し込み、法要当日に塔婆料をお渡しするのが一連の流れです。
特に、渡すタイミングや渡し方にはマナーがあるため、事前に確認しておくと当日スムーズに行動できます。
ここでは、塔婆の申し込み方法から、法要当日に塔婆料をスマートにお渡しするまでの手順と注意点を解説します。
法要の準備から当日の振る舞いまで、一通り把握しておきましょう。
法要の10日前までにはお寺へ塔婆を申し込む
塔婆は僧侶が1本ずつ手書きで準備するため作成には時間がかかります。
そのため法要の日程が決まったらなるべく早くお寺へ申し込みを行うのが望ましいです。
遅くとも法要の10日前までには連絡を済ませておきましょう。
申し込みの際には故人の戒名命日施主の氏名そして希望する塔婆の本数を正確に伝えます。
申し込み方法は直接お寺へ出向くか電話で行うのが一般的です。
近年では寺院によってはウェブサイトの専用フォームや郵送FAXで受け付けている場合もあるため事前に確認しておくと良いでしょう。
法要当日、お布施と一緒に塔婆料をお渡しする
塔婆料は、法要が始まる前の挨拶の際か、法要が終わって僧侶が退席するタイミングでお渡しするのが一般的です。
多くの場合、読経などへの感謝を示すお布施と一緒に渡します。
お布施と塔婆料はそれぞれ別の封筒に用意しますが、渡す際はまとめてお渡しして問題ありません。
その際のマナーとして、お布施の封筒を手前にし、その下に塔婆料の封筒を重ねるのが丁寧です。
切手盆(小さなお盆)に乗せて差し出すのが最も正式ですが、ない場合は袱紗(ふくさ)から取り出し、袱紗の上に乗せてお渡しします。
お寺へ持参する際は袱紗(ふくさ)に包むのが丁寧
塔婆料の封筒をそのまま鞄やポケットに入れて持参するのはマナー違反です。
お寺へ持参する際は、袱紗(ふくさ)に包んで丁寧に扱いましょう。
袱紗は、金封を汚したり水引が崩れたりするのを防ぐための布です。
弔事用の袱紗は、紺や深緑、紫、グレーといった寒色系の色を選びます。
紫色の袱紗は慶事と弔事の両方で使えるため、一つ用意しておくと便利です。
塔婆料の包み方は、袱紗をひし形に広げ、中央よりやや右側に封筒を置き、右、下、上、左の順にたたんでいきます。
この丁寧な包み方が、相手への敬意を示すことにもつながります。
塔婆を依頼する前に知っておきたい注意点
塔婆供養は故人を偲ぶ大切な儀式ですが、依頼する前にはいくつか知っておきたい注意点があります。
例えば、塔婆を立てる本数に決まりはあるのか、宗派によって塔婆供養を行わない場合があること、そして古くなった塔婆の適切な処分方法などです。
これらの知識は、無用なトラブルを避け、心穏やかに供養を行うために役立ちます。
塔婆の申し込みやその後の使い方に関するポイントを事前に押さえておきましょう。
塔婆を立てる本数に明確な決まりはない
塔婆を立てる本数については、特に明確な決まりはありません。
一般的には、施主が代表して1本立てることが多いですが、故人と縁の深い親族や親戚がそれぞれ個別に申し込むことも可能です。
例えば、故人の子どもたちがそれぞれ1本ずつ、計3本立てるといったケースもよく見られます。
複数の方が塔婆を希望する場合は、事前に施主が取りまとめておくと、お寺への申し込みがスムーズです。
誰が何本立てるのかを親族間で相談し、代表者がまとめて依頼することで、お寺側の手間も省けます。
本数に迷う場合は、菩提寺の慣習を確認するのも一つの方法です。
浄土真宗など宗派によっては塔婆供養を行わない
仏教のすべての宗派で塔婆供養が行われるわけではない点に注意が必要です。
例えば、浄土真宗では、亡くなった方は阿弥陀如来の力によってすぐに成仏し、極楽浄土へ往生するという教え(往生即成仏)があるため、追善供養の概念がありません。
したがって、故人の冥福を祈るための塔婆を立てる習慣も基本的にありません。
一方で、曹洞宗や真言宗、日蓮宗など多くの宗派では、塔婆を立てることが重要な供養の一つとされています。
自身の家の宗派が塔婆供養を行うかどうか不明な場合は、法要を依頼するお寺や親族の年長者に事前に確認することが大切です。
古くなった塔婆の処分方法はお寺に相談する
お墓に立てた塔婆は、時間が経つと風雨にさらされて古くなっていきます。
古くなった塔婆の処分については、まず菩提寺に相談するのが最も適切な方法です。
多くの寺院では、お焚き上げなどで供養した後に処分してくれます。
お盆やお彼岸の時期に、古い塔婆を回収する場を設けているお寺も少なくありません。
塔婆は故人の供養のために立てられた大切なものであるため、自分でゴミとして処分するのは避けるべきです。
塔婆立に新しい塔婆を立てるスペースがなくなってきたら、お寺に連絡し、適切な処分方法を確認しましょう。
そのままにしておいても自然に朽ちて土に還るものですが、景観を考えても定期的な整理が望ましいです。
まとめ
塔婆料とは、故人の追善供養のために立てる塔婆をお寺に依頼する際にお渡しする費用です。
相場は1本あたり3,000円から10,000円程度が目安ですが、地域や寺院によって異なるため、直接確認するのが確実です。
準備の際は、白無地の封筒か不祝儀袋を使用し、表書きは「御塔婆料」、筆記用具は濃い墨の筆ペンで書くのがマナーです。
法要の10日前までには申し込みを済ませ、当日はお布施と一緒に袱紗に包んで持参し、僧侶へお渡しします。
また、宗派によっては塔婆供養を行わない場合があることや、古くなった塔婆の処分はお寺に相談するといった注意点も押さえておく必要があります。
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