御仏前とは?御霊前との違いや金額・書き方・中袋の入れ方など香典マナーを解説
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お葬式・法要の知識・マナー
- 新着 更新日:2025.12.19
- お葬式・法要の知識・マナー
御仏前とは?御霊前との違いや金額・書き方・中袋の入れ方など香典マナーを解説

御仏前とは、四十九日法要以降に執り行われる法事で故人に対して供える金品のことです。
読み方はそのまま「ごぶつぜん」と読みます。
葬儀で使われる御霊前との明確な違いや使い分けのルール、香典袋の正しい選び方や表書きの書き方、さらには金額相場など、法事には多くのマナーが存在します。
ここでは、「御仏前」と「香典」の関係性や、「御霊前」の違いなど、参列する際に知っておくべき作法について解説します。
御仏前を使用し始める正しいタイミング
故人が亡くなった後、どのタイミングから「御仏前」という表書きを使うべきか迷う方は少なくありません。
一般的には四十九日法要がひとつの区切りとなりますが、宗派や地域の慣習によって「いつから」切り替えるかの考え方が異なるため注意が必要です。
ここでは適切な使い方や、時期ごとの判断基準について解説します。
四十九日法要を境に御仏前へ切り替える
仏教の多くの宗派では、命日から49日目に行われる忌明け法要をもって故人が成仏し、仏になるとされています。
そのため、四十九日前の葬儀後や初七日までは「御霊前」とし、四十九日法要当日から「御仏前」へと切り替えるのが一般的です。
ただし、近年増えている繰り上げ法要などで、葬儀当日に初七日法要を行う場合でも、まだ成仏していない期間であるため「御霊前」を用いるケースが多く見られます。
法要の日程を確認し、忌明けかどうかを判断して適切な表書きを選ぶ配慮が求められます。
葬儀の御霊前とは成仏の考え方が異なる
お通夜や葬儀・告別式では、故人はまだ霊の状態であると考えられており、この期間に供える香典の表書きには「御霊前」が用いられます。
これは文字通り「霊の御前に供える」という意味を持ちます。
四十九日を過ぎて成仏してからは「仏の御前に供える」という意味の「御仏前」に変わります。
このように、仏教では死後の時間の経過とともに故人の在り方が変わるため、それに合わせて「御霊前」の代わりとして「御仏前」を使い分ける必要があります。
不祝儀袋の種類も変化する場合があるので注意を払います。
浄土真宗では葬儀から御仏前を使用する
仏教の中でも浄土真宗や真宗各派においては、故人は亡くなると同時に阿弥陀如来の力によって仏になるという「即身成仏」の教えがあります。
霊という概念がないため、お通夜や葬儀の段階から「御霊前」ではなく「御仏前」を使用するのが正式なルールです。
曹洞宗などの禅宗や他の宗派では一般的に四十九日を境に使い分けますが、相手の宗派が事前に分かっている場合は、その教義に合わせた表書きを選ぶことがマナーとして推奨されます。
迷った際は喪家に確認するか、周囲に相談するのも一つの方法です。
立場によって変わる御仏前の金額相場
法要に包む金額は、故人との関係性や参列者の年齢、地域によって異なります。
相場を知らずに少なすぎる額を包むと失礼にあたり、逆に高額すぎても相手に気を遣わせてしまいます。
ここでは一般的な目安となる値段や、具体的な料金の例を紹介します。
適切な「いくら」を把握し、失礼のないように準備しましょう。
親族として法要に参列する場合の金額
身内や親戚として参列する場合、関係が近いほど金額は高くなります。
両親の法要であれば1万円から5万円、場合によっては10万円包むこともあります。
兄弟や祖父母であれば1万円から3万円程度が相場です。
叔父や叔母、姪などの親族であれば1万円から2万円ほどが目安となります。
夫婦で参列する場合や家族葬の場合でも、2人で1つの香典袋にまとめて包むなら、1人分の相場に上乗せした金額を用意します。
4や9といった忌み数字を避け、2万や7万円といった端数のない金額を包むよう心がけます。
友人・知人として参列する場合の金額
故人が友人や知人、または会社の関係者である場合、法要に持参する金額は5千円から1万円程度が一般的な相場とされています。
生前に親しい付き合いがあった場合は1万円から3万円ほど包むケースも見られます。
関係性がそれほど深くない場合や、儀礼的に参列する場合は3千円から5千円程度でも問題ありません。
ただし、あまりに少額すぎると香典返しの手間や費用で遺族に負担をかける可能性があるため、地域の慣習なども考慮しながら金額を決定します。
法要後の会食に参加する場合の金額加算
法要は読経や焼香の後に、お斎と呼ばれる会食の席が設けられることが一般的です。
命日に行われる法要とその後の食事に参加する場合は、香典として包む本来の金額に、食事代として5千円から1万円程度を上乗せして包むのがマナーとされています。
これは遺族が負担する飲食費への配慮でもあります。
もし会食を辞退する場合は、事前にその旨を伝え、香典の金額も食事代を含まない本来の相場で包むようにします。
事前の連絡を徹底することで、遺族側の準備もスムーズになります。
宗教によって異なる香典袋の表書き
香典袋の表書きや水引、のしの有無は、故人の宗教や宗派によって大きく異なります。
誤った表書きを使うことは失礼にあたるため、事前に確認しておくことが望ましいです。
ここでは無宗教の場合や、蓮の花が描かれた袋の扱いなどを含め、それぞれの宗教に適した形式を解説します。
仏教の法要では御仏前と記載する
お寺で行われる仏教の法要においては、四十九日以降は「御仏前」と表書きするのが基本です。
香典袋には水引がかかっており、色は黒白や双銀、地域によっては黄白のものを選びます。
蓮の花が印刷または型押しされた香典袋は仏教専用とされているため、仏式であれば使用可能です。
市販されている不祝儀袋の中にはあらかじめ表書きが印刷されているものも多いため、仏教用であることを確認して購入すると安心です。
宗派による細かな違いに不安がある場合は、スタンダードな形式を選ぶのが無難です。
神道の霊祭では御玉串料などを用いる
神道においては、仏教の法要にあたる儀式を「霊祭」と呼びます。
この際に持参する金封の表書きは「御玉串料(おんたまぐしりょう)」や「御神前(ごしんぜん)」、「御榊料(おさかきりょう)」と記載するのが一般的です。
神道では蓮の花の絵柄が入った袋は使用せず、無地の白い封筒や銀色の水引がついたものを用います。
仏教用語である「供養」や「成仏」、「冥福」といった言葉も神道では使わないため、言葉選びにも配慮が必要です。
形式を守ることで、神道の儀礼に対する敬意を表します。
キリスト教の追悼式では御花料を用いる
キリスト教のカトリックやプロテスタントで行われる追悼ミサや記念式では、表書きに「御花料(おはなりょう)」と書くのが最も一般的で無難です。
カトリックの場合は「御ミサ料」と書くこともあります。
袋は百合の花や十字架が描かれたもの、あるいは無地の白い封筒を使用します。
水引は基本的に不要ですが、もし付いているものを使う場合は双銀や白黒を選びます。
仏教形式の「御仏前」という言葉は教義にそぐわないため、キリスト教式では使用を避けます。
香典袋の選び方および表書きの書き方
香典袋(金封)には様々な種類があり、包む金額や用途に合わせて適切なものを選ぶ必要があります。
また、表書きや中袋の書き方にも決まりがあり、筆記用具の選び方一つにも意味が込められています。
ここでは封筒の選び方や正しい包み方について解説します。
包む金額の格に合った香典袋を選ぶ
香典袋は中に入れる金額に見合った格のものを選ぶのが基本です。
3千円から5千円程度なら水引が印刷された簡易的な袋、1万円から3万円なら黒白や双銀の水引がついたスタンダードな袋、5万円以上なら高級和紙や手の込んだ水引飾りがついた大判の袋を選びます。
水引の色は黒白が一般的ですが、関西などの一部地域では四十九日以降の法要に黄白の水引を用いる習慣があります。
無地のものや控えめな絵柄が入ったものを選び、店頭の見本を参考にしながら適切な袋を用意します。
四十九日以降は濃い墨を使って書く
通夜や葬儀では「悲しみで涙が落ちて墨が薄まった」という意味を込めて薄墨を使いますが、四十九日以降の法要では濃い墨を使用するのがマナーです。
これは忌明けを迎え、悲しみが癒えつつあることや、心を込めて文字を書くという意味が含まれます。
筆ペンや毛筆を使い、はっきりとした黒色で丁寧に書きます。
ボールペンやサインペンは事務的な印象を与えるため、不祝儀袋の表書きには不向きとされています。
正式なマナーに則り、筆記具を使い分けることが大切です。
表書きの下段には氏名をフルネームで書く
香典袋の表書きの下段、水引の中央下部分には、贈り主の名前をフルネームで記載します。
上段の「御仏前」などの文字よりもやや小さめに書くとバランスが良く見えます。
漢字は崩しすぎず、楷書で丁寧に書くことが求められます。
もし代理で夫の名前を書く場合は、名前の左下に小さく「内」と書き添え、妻が代理であることを示します。
会社名を入れる場合は、名前の右側に少し小さく会社名を記入します。
誰からの供え物かが一目で分かるよう、明瞭に記述します。
複数人が連名で出す場合の氏名の並べ方
職場の同僚や友人グループなど、複数人で香典を包む場合は連名で記載します。
3名までであれば、目上の人を右側にし、順に左へ名前を並べて書きます。
順位がない場合は五十音順にします。
4名以上の場合は、代表者の名前を中央に書き、その左側に「他一同」や「外一同」と書き添えます。
その上で、全員の氏名と住所、それぞれの金額を記した別紙を中袋に入れます。
夫婦連名の場合は、夫の氏名の左側に妻の名前のみを並べて書くのが一般的です。
中袋の書き方およびお札を入れる際のマナー
香典袋には現金を直接入れるのではなく、中袋(中包み)に入れるのが丁寧な方法です。
中袋への金額や住所の書き方、さらにお札の向きや状態にも細かな作法が存在します。
中袋なしの封筒を使う場合の対応も含め、失礼のない入れ方を解説します。
中袋の表面には旧字体の漢数字で金額を書く
中袋の表面中央には、包んだ金額を縦書きで記載します。
この際、数字の改ざんを防ぐため、通常の漢数字ではなく旧字体(大字)を用いるのが正式なマナーです。
例えば、一万円なら「金壱萬圓」、三千円なら「金参仟圓」のように書きます。
「円」は「圓」と書くのが習わしですが、略式の「円」でも許容される傾向にあります。
横書きの記入欄があるタイプの封筒であれば、アラビア数字で金額を記入しても差し支えありません。
書き損じのないよう慎重に記入します。
中袋の裏面には住所および氏名を明記する
中袋の裏面には、必ず住所と氏名を記入します。
これは遺族が後で整理をする際や、お返しを送る際に誰からの香典かを正確に把握するために必要な情報です。
郵便番号、住所、氏名を左側に寄せて縦書きで丁寧に記します。
表書きに名前を書いているからといって裏書きを省略すると、中袋だけになった際に誰のものか分からなくなる恐れがあります。
遺族の手間を減らすためにも、はっきりと読みやすい文字で明記することが重要です。
お札の肖像画が裏側になる向きで入れる
香典袋にお札を入れる際は、お札の向きに注意が必要です。
一般的に不祝儀の場合は、お札の肖像画が描かれている面を中袋の裏側に向け、肖像画が下に来るように入れます。
これは「顔を伏せる」という意味や「悲しみで顔を上げられない」という気持ちを表すとされています。
封筒の表側から見てお札が裏向きになっていれば問題ありません。
複数枚入れる場合は、すべてのお札の向きを揃えて入れることが基本的なマナーです。
向きを揃えることで、丁寧な心遣いを示せます。
新札ではなく折り目のついたお札を用意する
結婚式などの慶事では新札を用いますが、法事や葬儀などの弔事では新札を避けるのが古くからの慣習です。
新札は「あらかじめ用意して死を待っていた」と捉えられる可能性があるためです。
手元に新札しかない場合は、一度折り目をつけてから包むことで古札(旧札)のように見せます。
ただし、あまりに汚れていたり破れていたりするお札は失礼にあたるため避け、適度に使用感のあるきれいなお札、あるいは折り目をつけた新札を使用します。
法事当日における香典の渡し方
香典袋の準備が整ったら、法要当日の渡し方についても確認しておきましょう。
そのまま手で持って行くのではなく、適切な所作で渡すことが大人のマナーとして求められます。
ここでは受付での手順や、その際の言葉遣いについて解説します。
香典袋は袱紗に包んで持ち運ぶ
香典袋をカバンやスーツのポケットに直接入れて持ち運ぶのは、袋が折れたり汚れたりする原因となりマナー違反です。
必ず「袱紗(ふくさ)」と呼ばれる布に包んで持参します。
弔事用の袱紗は、紺、緑、紫、グレーなどの寒色系の色を選びます。
紫色は慶弔両用として使えるため便利です。
袱紗がない場合は、小さめの風呂敷やハンカチで代用することも可能ですが、その際も地味な色味のものを選び、丁寧に包んで持ち運びます。
受付で相手に向けて香典を差し出す手順
受付に到着したら、まず袱紗から香典袋を取り出します。
袱紗をたたみ、その上に香典袋を載せます。
受付係の方から見て表書きの文字が読める向き(自分とは逆の向き)になるように香典袋を回転させ、両手で差し出します。
手渡しする際は片手ではなく、必ず両手を添えることで丁寧な印象を与えます。
祭壇に直接供える場合は、文字が自分から読める向き(祭壇側から見て逆向き)で置くのが一般的ですが、作法は地域や宗派により異なる場合があります。
渡す際に添える挨拶やお悔やみの言葉
香典を渡す際には、一言挨拶を添えるのが礼儀です。
「この度はご愁傷様でございます」や「心よりお悔やみ申し上げます」といったお悔やみの言葉を伝えます。
法事の場合は「本日はお招きいただきありがとうございます」「御仏前にお供えください」といった言葉を添えるのも適切です。
言葉は短く控えめにし、大声で話したり長話をしたりすることは避けます。
後日郵送する場合は、香典だけでなく丁寧な礼状を同封することで弔意を伝えます。
まとめ
法要は一周忌や三回忌、七回忌といった年忌法要のほか、お盆(初盆・新盆)やお彼岸など、故人を供養する大切な機会です。
御仏前の準備をはじめ、お菓子や果物、線香といったお供え物、さらには香典返し(返礼品)のやり取りなど、様々なマナーが存在します。
地域や宗派によって細かい扱いは異なりますが、基本を押さえておくことで遺族への配慮につながります。
故人を偲び、参列者全員が穏やかな気持ちで過ごせるよう、適切な振る舞いを心がけましょう。
ちょっとした疑問やお悩みも多数
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